続きを読む: マイナンバー制度について
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の期間に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。
- 1つめは、所得やほかの行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
- 2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され。国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関からさまざまなサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
- 3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化) 【内閣府のHPより】
誤解を恐れずに言えば、マイナンバーとは現存する様々な管理番号を一元化し、国民情報を集約することを目的としています。
そのため、マイナンバーには膨大な個人情報を含み、その取扱いにおいて、厳格な規定及び罰則が存在しますので、マイナンバー取扱い時にはご注意ください。
その2
平成27年10月から、個人番号については市町村から住民票に記載された住所に12桁の番号で通知されます。
また、法人番号については国税庁から13桁の番号で通知されます。法人番号は個人番号と異なり、原則として公表されるため、どなたでも自由にご利用いただくことができます。また、個人番号の提供を受ける場合は、本人確認を行う必要があるため、銀行が行っているような本人確認書の提示を受ける必要があります。
具体的には、個人番号カードがある場合は個人番号で身元確認ができるため、個人番号カードだけの提示で済みますが、通知カードで個人番号を確認する場合は、通知カードに併せて、運転免許証等の提示を求めることとなります。
このような手続きによらない番号の取得は、罰則の対象となりますのでご注意ください。
事業者間での番号の受け渡しも法律で禁止されているため、出向転籍等により人事異動が生じた場合は、必ず本人から上記手続きにより、個人番号を取得してください。
また、個人番号の取得目的についても、法律で決められているため、目的外で個人番号を取得した場合も罰則の対象となります。
その3
前回までマイナンバー制度の概要について説明してきましたが、税の分野では、次の時期より申告書等にマイナンバーを記載する必要があります。
- ①所得税については、平成28年分の確定申告書から適用
- ②法人税については、平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から適用
- ③法定調書については、平成28年1月1日以降に支払を受ける法定調書から適用
- ④申請書及び届出書については平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から適用
なお、国税庁の資料によると、法定調書関係での事務の取扱いは次のようになります。
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Ⅰ.法定調書に関する事務での取扱い
- (1)法定調書への個人番号又は法人番号の記載
法定調書提出義務者は、平成28年1月1日以降の支払に係る法定調書に、原則として支払を受ける方及び支払者等の個人番号又は法人番号を記載する必要があります。
- (2)支払を受ける方から個人番号の提供を受ける際の本人確認
法定調書提出義務者は、支払を受ける方から個人番号の提供を受ける際に、個人番号カード等の提示を受け、本人確認を行う必要があります。
- (3)法定調書提出時の本人確認
法定調書提出義務者が個人事業主の場合は、法定調書を税務署に提出する際に、本人確認のため個人番号カード等を提出する必要があります。
(郵送により提出する場合は、個人番号カード等の写しを添付する必要があります)。
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Ⅱ.源泉所得税に関する事務での取扱い
- (1)源泉徴収義務者が税務署に提出する書類の主な変更点
- ①申請書、届出書等への個人番号又は法人番号の記載
源泉徴収義務者は、平成28年1月1日以降に申請書、届出書等を税務署に提出する際に、
源泉徴収義務者の個人番号又は法人番号を記載する必要があります。
- ②申請書、届出書等提出時の本人確認
源泉徴収義務者が個人事業主の場合は、申請書、届出書等を税務署に提出する際に、
本人確認のため、個人番号カード等を提示する必要があります
(郵送により提出する場合は、個人番号カード等の写しを添付する必要があります)。
- (2)源泉徴収義務者が給与所得者から提出を受ける書類の主な変更点
- ①「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」への個人番号又は法人番号の記載
源泉徴収義務者は平成28年1月1日以降、給与所得者から給与所得者本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号が記載された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受ける必要があります。
また、この申告書の提出を受けた源泉徴収義務者は、その申告書に源泉徴収義務者の個人番号又は法人番号を付記する必要があります。
- ②「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受ける際の本人確認
源泉徴収義務者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合には、本人確認を行う必要があります。なお、源泉徴収義務者が本人確認を行う必要があるのは、個人番号の提供を行う給与所得者本人のみです。(控除対象配偶者、控除対象扶養親族等の本人確認は、給与所得者が行うこととなります)。
- ※源泉徴収義務者が提出を受ける書類のうち、受給者が個人番号を記載する書類は、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のほか、例えば、以下のものがあります。
- 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
その4
平成27年4月5日付日本経済新聞に衝撃的な記事が載りました。
『マイナンバーへのシステム対応「完了した企業」2割弱』
記事によると、「検討段階」や「未着手」などと作業に入っていない企業が6割以上を占め、対応の必要はないと考えている企業が8.7%もあるとのことです。
前回までに述べたとおり、制度導入後は膨大な事務作業が発生し、マイナンバーの取り扱いを一歩間違えると厳しい罰則があります。
皆さんお早めにご対応ください!!!
その5
下記の特例については住民票の添付を要件としますが、マイナンバーの運用開始後は住民票の添付が不要となります。
(所得税)
- ①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- ②居住用財産の譲渡所得の特別控除
- ③特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
- ④住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
- ⑤特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
- ⑥居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
- ⑦特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
- ⑧既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
- ⑨既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
- ⑩認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
(相続・贈与税)
- ①贈与税の配偶者控除
- ②相続時精算課税制度の選択
- ③小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
- ④直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
- ⑤特定の贈与者から住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
- ⑥東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
次回は、平成30年1月から施行予定のマイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置について、説明します。
その6
国民の財産が丸裸に・・・
そんな時代がもうそこまで近づいているのかもしれません。
政府は平成30年よりマイナンバーを預金口座に適用するマイナンバー法改正案を閣議決定しました。この法案は銀行預金を開設する際にマイナンバーを必要とするもので、当初数年間は任意となりますが、3年後をめどに義務化も予定しています。
こうなると、銀行預金等がマイナンバーと紐付きになるため、端末をたたくだけで誰がどれだけ資産を保有しているのかが瞬時に判る時代が来るということです。
行政側にとれば、相続税の課税財産の把握や税金の徴収にも利用できるため、導入したい意向は判るのですが、プライバシーの侵害になる恐れもあり、慎重に議論していただきたいと切に願うところです。
その他、改正案ではマイナンバーを医療分野の一部で活用することも認めるとなっています。具体的には、乳幼児が受けた予防接種の記録をマイナンバーで管理し、引っ越し先の市区町村に引き継げるようになるとのことです。また、健康保険組合がメタボ診断の情報をマイナンバーで管理できるようにもなります。